鉄ペン万年筆の雑感

2023年3月8日水曜日

趣味

赤と白のストック
欧州原産と言われるストック(Stock)
Stockには色々の意味がありますが、
元来は「幹・切り株」という意味なのだそうです。
真っ直ぐに伸びた茎に咲く花という意味で
ストックと名付けたんだそうです。

ペン先がステンレス・スティール、いわゆる、鉄ペンの万年筆の四方山のお話です。端的に考えますと、鉄ペンの存在理由は、金ペンよりもかなり安く買えることだと言えますでしょうね。

書いている時のペン先のスベリ具合や描線自体の形状は、万年筆の最も敏感な部分であるペンポイントに依存します。そこは万年筆あるいはペン先メーカー各社がそれぞれ明確な特徴を持たせている部分だと思われます。万円筆を実際に使用する個人個人が敏感に反応する部分でもあります。

そう考えますと、鉄ペンだからスベリは金ペンに劣ると決めつけることは間違いかもしれませんね。
つまり、高級万年筆のペンポイントに使われていると思われる高性能の合金を鉄ペンのペンポイントに使うとすれば、耐久性とスベリ具合は同じレベルになる筈です。

しかし、書き心地や書き味となりますと、ペンポイントだけでは達成できない性能です。
それらには万年筆全体の要素が関係してきます。
例えば、ペン先の材質、インクフロー、柔軟性(しない具合やしなる位置)、軸の材質、書く際にキャップを付けた時と外した時の軸の長さ・太さ・重さ・重心の位置などでしょうか。

このようなことを考えますと、ペンポイントだけに高価な合金を使って鉄ペン万年筆の価格を上げても意味なさそうですね。
鉄ペンが金ペンと似たような値段なら、多分、金ペンを買う人の方が圧倒的に多いと思いますので…

従って、鉄ペンは、書き味や書き心地を余り追求するのではなく、気軽に買える値段で、かつ、筆記用具として問題なく使える万年筆という位置づけになるのでしょう。

値段に関しましては、安いもので数百円からあり、高くても精々5,000円程度までとする方が無難ではないでしょうか。

勿論、1万円を優に超える鉄ペンもあります。
例えば、Pelikanの鉄ペンM200は定価で17,000円もします。
その書き心地には一般の安い鉄ペンが及ばない良さがあり、4万円もするM400に拘らなくとも良いのではとさえ思わされます。

それでも、どうしてもPelikanが欲しいという人でなければ、似たような価格である14Kの国産万年筆を選ぶ人が多いと思います。

さて、手頃な値段で買える鉄ペンにはどんな物があるのかと申しますと、ダントツ人気はLamyではないでしょうか…使ってみると、へぇ~という書き心地を感じると思います。
近年では台湾のツイスビーという万年筆の人気が高騰しているようですが、私には値段が高いというイメージがあります。
PilotのカクノCocoonも定評がありますね…確かに、”カクノ”は良くできた万年筆だと思いますが、万年筆らしくない書き心地(硬すぎる)という点が気になります。
プラチナのプロシオン・ラスター(6,000円程度)の評価も高いですが、私は重さとバランスに違和感を感じて、使い続ける気にはなれませんでした。

”好み”は人それぞれですので、どの万年筆を選んでも気に入った物であれば問題ないのですが、せっかく万年筆を使うのですから、万年筆らしい機能の一つであるペン先のしなりが多少なりともある物を選ぶのが良いのではと思ってしまいます。

例えば、ペン先が全くしならない鉄ペン(例えば、CROSS)で書きますと、筆圧を殆ど加えずに書く人には、多分、違和感はないと思いますが、私は棒切れのようなもので書いているかのような気分になってしまいます…勿論、それが悪い万年筆だということではなく、私の好みには合わないということです。
(備考:CROSSの万年筆はデザインが秀逸で、その色彩に惹かれます。また、純正インクのブルーブラックは私を魅了する色です。問題は、そのボトルインクが市場で手に入らないことなのですが…)(CROSSはお勧めしません…下部のPS.をご参照下さい)

一般的に、軟らかいペン先は筆圧の弱い人に向き、硬いペン先は筆圧の強い人に向くと言われているようですが、それはそれとして、私は違う角度から考えます。

軟らかいペン先を、単に腰が弱いペン先というのではなく、弾性のあるペン先と想定しますと、その”弾性”は書いている際にクッションのような役割をして余分な力を吸収してくれますので、筆圧が強い人の指や手の疲れやすさを軽減してくれます。

何れにしましても、万年筆はボールペンで書く時のような筆圧を必要としませんですよね。

手頃な鉄ペンのどれがベストなのか私には判りませんが、現在手元に置いてメモ書きや注釈などに使っています私の鉄ペンは次のような物です:

  1. プラチナのPREPPY(1本200円台)3本…黒・赤・緑
    多分、最安値の部類だと思いますが、それでも万年筆らしさが多少あります。
    何も気にせずに走り書きするには手頃な万年筆ですが、初心者がこれが万年筆なんだと思って使ったとするなら、彼らは万年筆自体に興味を失うかもしれませんね。ですから、初心者が使うべきものではありません。
  2. ドイツのシュナイダー・レイ(Schneider Lei…2,200円)
    多少なりともペン先にしないを感じさせてくれて、スベリも悪くない万年筆です。インクフローも良く、書いていてカスレルなんてこともありません。
    このメーカーはペンポイントにイリジウム(Ir)を使用していると謳っていますので、ペン先を多少乱暴に扱ってもペンポイントは傷つかないと思います。イリジウムは大変硬い金属で、エンジン用の高級スパーク・プラグにも使われています。従って、ペンポイントの耐熱性・耐摩耗性は非常に高い筈です…耐熱性が必要か否かは分かりませんが(^^;)
    私が持っているモデルは、指が当たる部分がゴムで、軸全体が太目ですので、太すぎると感じる方もおられますでしょう。その場合は、シュナイダー・ベースを試されたら良いと思います。

Lamyも買って試したことはあるのですが、友人にあげてしまいました。
あれこれ煩わしいことを考えるのは嫌だと仰るなら、Lamyにすれば後悔しなくても済みそうですね。ただ、ペン先は硬かったという印象です。

蛇足ですが、金に糸目を付けずに(^^;)鉄ペンを一本持って置きたいと仰るなら、書き心地でPelikanのM200、お洒落でCROSSということになりますでしょうか。
(CROSSはお勧めしません…下部のPS.をご参照下さい)


PS. 2023年9月5日(火)

現在でも手元にある鉄ペンは、パイロットのカクノ、ペリカンM200、Cross2本ですね。

カクノにはパーカーのインクを入れて使ってます…パイロットのインクよりもザワツキのない、すっきりした線が書けます。
パイロットCUSTOM743でもパーカーのインクを使ってみたのですが、すっきりとした線は書けるのですが、書き出し時にちょっと掠れる症状がでたので、諦めました。

十年以上前になりますが、中国製の万年筆を鉄ペン、金ペンを何種類も試してみました…但し、すごく高価なものは試していません。
その中で使えると思ったのは、パーカー51のコピー品と言われる英雄100(14k)だけでしたね…上海ではプラチナのインクを入れて何年も使わせてもらいました。
当時は5,000円程度で買えてましたが、現在では5~6割ぐらい値上がりしているようですね。

PS. 2024年2月7日(水)

相変わらずCROSSのブルーブラックのボトルインクが手に入りません。
他の色のインクでAmazonなどに出品されているものがありますが、ラベルを見ると明らかに違っている箇所がありますので、偽物じゃないかと疑ってしまいます。値段も、62mlで2千円を優に超えます。

CROSSのHP(https://www.cross.com/cr_ja_jp/)から問い合わせしてみようとしたのですが、「問い合わせ」へのアクセス表示があっても実際にはアクセスできません…何かおちょくられているような感じがします…米国のHPでも同様です。

今時、カスタマー・サービスが曖昧な企業は珍しいと思いますので、万年筆に関しては、CROSSは避けた方が良さそうですね。

一昨年の後半から昨年にかけて万年筆の値段が50%程度高騰した感があります…4万円弱で買えていた万年筆が6万円になっていたりします。
インクもかなり値上がりしてきています。メーカーサイトで800円程度で表示されているボトル・インクがAmazonで千円台の後半で売られていたりします…配送料は別です。

このような現象面をみますと、万年筆は本格的に小さな趣味の世界に収まってしまったように思われます。

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